株式会社二宮石材 訪問取材 ~株式会社蒼島(あおいしま)AJIPROJECT~
はやしばらでは、庵治牟礼や日頃よりお世話になっております石材業者様を訪問し、様々なことを勉強させていただいています。
今回は、弊社も字彫り依頼をさせていただいている石材彫刻会社「株式会社二宮石材」の二宮力社長へインタビューをしました。
AJIPROJECT作品
二宮社長は現在の石材業界について、墓石だけの販売では衰退してしまう。と考えていらっしゃいます。
その理由として、以前は400社あった石屋さんが今では200社まで半減してしまった。また職人さんも1/4にまで減ってしまい、石の加工だけでは生活できず副業をする職人さんもいらっしゃるとのことです。
このままでは1000年前から引継がれている庵治石加工の職人さんの技術も衰退してしまう。ということで墓石だけでなく、小物であったりデザイナーさんとコラボすることで庵治石や加工の技術の素晴らしさを広めていこうと活動されています。
左上よりCAVE,HUIS,SABO1・3・5
その中の1つに今年の3月に起業されました新会社「株式会社蒼島(あおいしま)」があります。
「株式会社蒼島(あおいしま)」を起業されたきっかけは、庵治・牟礼の職人による「AJI PROJECT」の発足から10年の節目を迎えたことです。
職人が庵治石を使ってフラワーベースやプレートなど身近な品を洗練されたデザインで作ることで人気を博していたAJI PROJECT。
しかし、補助金の交付が終了間近になり継続が難しくなっていました。当時メンバーだった二宮社長は、立て直しを決意し新会社「株式会社蒼島」を起ち上げます。
「蒼島」では、まずAJI PROJECTの販売価格の適正化に着手し、ロゴマークも新たに作り直しイメージを刷新。
商品販売をメインに、東京都美術館で開催されたイサム・ノグチ展他、全国の展示会に出品するといった活動をされています。
奥からSUNSHINE,POUND,GRILLE SQUARE しまplate
コンセプトは「生活に寄り添う庵治石プロジェクト」。
石屋=墓石というイメージを壊し、庵治石を生活の中で普段使いしてほしいとの思いから考えられたコンセプトです。
最近では、世界的に人気のストリートファッションブランド「HYPEBEAST」で、ジュエリーブランドとコラボし「石化」と命名されたシリーズで庵治石の作品を販売中です。
インテリアや服飾雑貨と同系列に並べても違和感のない、生活に根差した庵治石を目指したいと語られました。
左からBOTTLE L flower vase,ROCK END L(旧M)bookend,AMIME MITSUDE
新しい市場をつくり、自分で切り開いていくことで産地の活性化を図っていこうと活動されている二宮社長。
若い担い手も不足してきている中、別の業界の方と仕事を進めることで違ったものの見方・またそこから庵治石の素晴らしさに刺激を受けた若者が、すぐには難しくても長い年月をかけてでも産地に貢献してくれる担い手が育ってくれればとおっしゃられていました。
「様々な活動を進めていく中で、時には失敗をするかもしれない。それでも反面教師としてそこから次に生かしていけばいい。
とにかく変えなければいけない。」というゆるぎない思いを聞かせていただきました。
産地の方から直接お話を聞かせていただく。という機会も少ないので、私自身自分の考え方であったり行動することの大切さというのを改めて実感することが出来ました。1時間という限られた時間の中で、二宮社長の産地に対する深い思いと未来を見据えた希望をうかがうことができ、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。
左からOISEAU サビobjet,CHICK objet
私たちも同じ庵治石の産地で石の加工・販売に携わる者として、単に安売りではない、質と価値をお客様に提供していかなければならない、と感じました。